任意後見の利用手続きの主な流れ
任意後見制度は、将来、判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ信頼できる人(任意後見受任者)と公正証書で契約を結んでおく制度です。
※実際に制度が開始するのは、判断能力の低下後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、審判が確定した後です。
1. 契約(準備段階)
本人に十分な判断能力があるうちに、任意後見契約を公正証書で作成します。
- 任意後見人になってもらう人(任意後見受任者)を決める
- 将来依頼したい内容(財産管理・生活/介護契約・施設入所手続等)を整理する
- 公証役場で任意後見契約公正証書を作成する
- 必要に応じて、財産管理委任契約・見守り契約・死後事務委任契約等を併せて検討する
★契約時の主な費用(目安)
- 公正証書作成手数料、収入印紙代、登記嘱託手数料、郵送費、正本/謄本作成費用などがかかります。
- 合計はおおむね3万円台-4万円台が多いですが、契約内容や証書枚数等により増減します。
- 専門職へ契約書案作成や相談を依頼する場合は、別途報酬がかかることがあります。
2. 制度開始の申立て(実行段階)
本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所に「任意後見監督人選任」の申立てを行います。
★申立てができる人(主な例)
- 本人
- 配偶者
- 4親等内の親族
- 任意後見受任者
申立先 原則として、本人の住所地を管轄する家庭裁判所
★主な必要書類(例)
- 任意後見監督人選任申立書
- 本人の診断書(家庭裁判所所定様式)
- 本人情報シート(必要な場合)
- 戸籍謄本、住民票等(本人・任意後見受任者など)
- 任意後見契約公正証書の写し(又はその情報)
- 財産資料(通帳写し、不動産資料、収入/支出資料など)
※家庭裁判所により、親族関係図・親族の意向確認書・追加資料等の提出を求められる場合があります。
★申立費用(目安)
- 収入印紙 800円
- 登記手数料(収入印紙)1,400円
- 郵便切手(家庭裁判所ごとに異なります)
- 必要に応じて鑑定費用等(事案により発生)
3. 家庭裁判所の審理・任意後見監督人の選任
- 書類審査、本人の状況確認、必要に応じた面接・照会等が行われます。
- 家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、審判が確定すると任意後見契約の効力が生じます。
- その後、任意後見人は監督人の監督のもと、契約で定めた代理権の範囲で支援を行います。
4. 利用時の注意点
- 任意後見制度は、本人の意思を事前に反映しやすい制度です。
- 任意後見人には、法定後見制度における一般的な同意権・取消権はありません(契約で定めた代理権が中心です)。
- 契約内容や開始時期の判断は重要なため、公証役場や専門職(行政書士・司法書士・弁護士等)への相談を検討してください。
【ご案内】 上記は一般的な流れの概要です。実際の必要書類・費用・運用は家庭裁判所や事案により異なります。申立て前に管轄の家庭裁判所へ確認してください。